ハートオフィス・あおい

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2020年08月12日

眠れぬ夜に〔♯24〕『「」(カギ括弧)』とは?

みなさま、いつもありがとうございます。

眠れぬ夜に・・・
明日につながる希望の哲学シリーズ〔♯24〕

『「」(かぎかっこ)』とは・・・
『言葉の意味に出会い直す魔法』である。



〔解釈とヒント〕

みなさまは普段、(メールやSNSなど)文章を書くとき
カギ括弧を使うことはあるでしょうか?

 カギ括弧の使い方として
 話し言葉・引用・強調・特殊な意味を表す などありますが
 ここでは『特殊な意味』で用いる場合について考えてみたいと思います。


例えば、医者という言葉にカギ括弧をつけて・・・

「私は「医者」が嫌い」と表現した場合
単に医者を客観的に表しているのではなく
医者の持つ “悪い” イメージを表していることになりますし
(ex 金儲け主義、エリート意識、偉そう etc…)
婚活中の女性が「私は「医者」の人と結婚がしたいですと言ったとしたら
前者とはまったく異なるニュアンス(ex ステータスがあってお金持ち)を持つことになります。


そう。つまりカギ括弧には
そこには見えない、物事の本当の姿を浮かび上がらす効果があると言えます。

では、いったいなぜこんな “マーク” をつけたくらいで
言葉の意味が変わってくるのでしょうか?

これを解くヒントとして
オーストリア出身の哲学者、エトムント・フッサール(1859-1938)が
『エポケー』という概念を述べているのですが

ある物事について、最初に思い浮かべた事柄(思考)と
いったん間をおいて改めてもう一度その物事を思い浮かべようとした場合
最初の事柄(思考)とまったく異なる事柄(思考)を考え始める
傾向があるそうです。

少し難しいので、ひとつ例に挙げてみると・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

道端に落ちていた真っ赤なリンゴ。
最初は「おいしそうだなぁ~」と感じたとしても
改めてもう一度そのリンゴをじっくり見たとき
「ひょっとしてこれば毒リンゴかも」とか
「ひょっとしてこれはリンゴの形をした爆弾かも」と思い始めた・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このように、一度思考を止め(間をおいて)改めて思考を動かした際
まったく異なった考察をしてしまうようなところがあることが
カギ括弧の効果のひとつにあるということ。

つまり

道端に落ちていた “おいしそうな” リンゴが、カギ括弧つきに「リンゴ」になったことで
いわくつきの “あやしい” リンゴに変化してしまったということになります。

さきほどの例にも挙げた「医者」もそうですが、人は
その意味を改めて考え始めることで、自分にとってもっともらしい意味を付与する のです。


もし、みなさんにちょっとした時間があるのなら
いろいろな言葉にカギ括弧をつけて一度考えてみるのもいいかもしれませんね。

普段何気なく使っている言葉を、次々カギ括弧に入れて考えてみることで
それまで見えなかったその言葉の “ほんとうの姿” が明らかになってくると思います。

そしてその “ほんとうの姿” こそが
その言葉に対する “ほんとうの気持ち” ということになるのです。


慣れ親しんだ言葉との「新たな」出会い。

試してみると、面白いと思います。


(引用:『眠れぬ夜の哲学』小川仁志著 PHP研究所)